妊娠初期の
特徴と症状
記事内容
妊娠初期は、母親の身体や感情に多くの変化が起こります。例えば、吐き気や疲れ、胸の張りやお腹の膨らみ、そして嗜好の変化などです。これらは一般的な症状で、もちろん個人差があり、必ずしも現れるものではありません。妊娠初期の症状は女性が妊娠していることを知る重要なサインともいわれますが、この時期にはほかにも健康上の問題が起こることがあるため、ひどいときは医師に相談してください。正しい情報にもとづいた適切なケアをして、母子の健康を守りましょう。
この記事は次のような人におすすめ
- 妊娠の可能性のある症状が出ている人
- 妊娠がわかり、これからの症状に不安がある人
- 妊娠に備えて、初期症状を知っておきたい人
妊娠初期症状とは
妊娠初期の代表的な症状としては、つわり(吐き気や嘔吐、食べ物の好みの変化など)や感情がコントロールしづらくなるなどの気持ちの変化もあります。ただし、これらの症状は妊娠したら必ずでるわけではないため、妊娠の可能性がある場合はまずは市販の妊娠検査薬で確認しましょう。初期症状との向き合い方としては、まずは正しい知識を得るために情報収集をして身体の変化を理解し、自己ケアに努めることが大切です。一人で抱えこまず、周囲に相談することも重要です。
妊娠初期症状は性交渉後
いつから?
多くは次の生理予定日頃から初期症状が現れることが多いとされています。ただし、初期症状の現れるタイミングには個人差があるため、妊娠の可能性がある場合は検査をして確認しましょう。生理予定日後いつから検査可能かを確かめ、妊娠検査薬の添付文書記載の使用方法を必ず守ってください。
妊娠の確認方法妊娠初期の18症状の特徴
【チェックリスト】
個人差はありますが、妊娠初期は下記のような症状が現れることが多いです。これらの症状は必ずしもあるわけではなく、また生理前の症状と似ていることもあるので注意してください。
- 着床出血
- 生理周期の異常
- 吐き気や嘔吐
- 胃もたれ
- 疲労感
- 胸の張りや痛み
- 腰痛
- 眠気
- むくみ
- 食欲変化
- 鼻づまり
- おりものの変化
- 肌荒れ
- 頻尿
- 下腹部痛
- 便秘
- めまい
- 精神的な不安感
1. 着床出血
受精卵が子宮内膜にしっかりと着床する過程で、微量の出血が起こることがありますが、出血がないこともあります。一般的に生理予定日前後に起こる出血で、生理に比べて量が少なく、色もピンクや茶色っぽい色などの違いがあることが特徴です。
2. 生理周期の異常
生理が規則的な人にとってわかりやすい妊娠のサインです。生理予定日より1週間遅れたときは、妊娠の可能性を考えましょう。妊娠中は生理が止まります。生理周期がもともと不規則な方の場合は、避妊をせずに性交渉をした3週間後に念のため妊娠検査薬で確認をしましょう。
3. 吐き気や嘔吐
ホルモンバランスが変化することにより、吐き気や嘔吐が起こることがあります。朝起きたときや食事のあとなど、匂いに敏感になることが増え、この症状はつわりとも呼ばれます。
4. 胃もたれ
吐き気や嘔吐と同じ原因で、つわりに含まれる症状です。また、食べ物の好みも変化するため、好きだったものが食べられなくなることもあります。
5. 疲労感
代謝が活発になりエネルギー消費量が増えるため、疲労感が出てくることがあります。特に昼間に眠くなることが多く、日中の仕事や家事をつらく感じることがあります。
6. 胸の張りや痛み
乳腺の成長や血流量の増加により、胸に張りや痛みを感じることがあります。たとえば、胸が重く感じる、触ると痛いなどの症状が出ることがあります。
7. 腰痛
子宮や胎児が成長することにより、腰に負担がかかって腰痛が起こることがあります。また、ホルモンバランスの変化によって腰回りの靭帯が緩み、腰に不快感をおぼえることもあります。
8. 眠気
妊娠を準備するホルモンであるプロゲステロンが増えて、眠気が増すことがあります。また、妊娠によるエネルギーの消費で体が疲れやすくなることも影響しています。十分な睡眠を取って体を休めましょう。
9. むくみ
妊娠すると水分を溜め込みやすくなることや、子宮が大きくなると血管が圧迫されやすく血流が滞りがちになることがむくみが起こる原因です。ストレッチなどの運動や足を高い位置においたり、弾性ストッキングを着用すると効果的です。ひどいときは、かかりつけの産婦人科で相談しましょう。
10. 食欲変化
ホルモンバランスの変化や胃腸の動きの変化により、食欲が増したり減ったりすることがあります。妊娠中は必要な栄養素が多いため、身体が求めるものが変わることもあります。食事では、生肉や生魚を避けることなどに気をつけながら、十分な栄養を摂取しましょう。ただし、この時期は、十分に食べられなくても赤ちゃんはちゃんと成長します。水分もとれない場合は産婦人科で相談しましょう。
11. 鼻づまり
ホルモンバランスの変化によって鼻粘膜が腫れたり、鼻水が増えたりすることがあります。また、体に取り込まれる水分が増えることで鼻腔が圧迫されて、鼻づまりが起こることもあります。
12. おりものの変化
量が増えたり、においがすっぱく感じることがあります。これらはトイレに行くと感じることがあります。出血や茶褐色のおりものがでた場合は、念のためかかりつけの産婦人科を受診しましょう。
13. 肌荒れ
ニキビや吹き出物などの肌荒れが起こることがあります。とくに、顔や胸などの皮膚がデリケートになるため、肌荒れが発生しやすくなります。保湿で軽減できます。
14. 頻尿
子宮が大きくなってくることで膀胱が圧迫されてしまい、頻繁にトイレに行きたくなることがあります。また、腎臓が働きやすくなり、余分な水分を排出しやすくなることも原因の一つです。
15. 下腹部痛
子宮が大きくなる時に靭帯が引っ張られて痛みが生じることがあります(牽引痛といいます)。妊婦健診で異常を指摘されていなければ心配はありませんが、出血を伴う痛みや痛みがだんだん強くなるような場合はかかりつけの産婦人科を受診しましょう。
16. 便秘
ホルモンバランスの変化によって腸の動きが鈍くなることがあります。また、週数が進むと、子宮が拡大することによって腸が圧迫されて、便秘が起こりやすくなります。
17. めまい
起立性低血圧によるものが多いです。立ち上がるときや運動をする前後に起こりやすいです。転倒の危険もあるので、クラっとしたらすぐにしゃがむようにしましょう。
18. 精神的な不安感
ホルモンバランスの変化により精神的な不安感を生じることがあります。また、初めての妊娠であれば不安はいっそう強いものでしょう。不安感が強くなると、睡眠不足や食欲不振、身体の不調にもつながるため、ストレスを溜めないように気をつけましょう。
妊娠初期症状がない人もいる
妊娠初期症状は一般的にみられるものですが、必ずしも起こるものではなく、何も症状を感じない人もいます。症状の有無は妊娠が順調かを表すものではありません。症状がないことを心配する必要はありませんが、健康的な生活習慣を維持する意識は必要です。栄養バランスのよい食事や規則正しい生活を心がけ、適度な運動と十分な睡眠でストレスを減らすように気をつけてください。妊娠が順調であるかを確認するために、医師の診察を受けることも大切です。症状の有無に関わらず、妊娠中は定期的に健診を受け、安心して過ごせるようにしましょう。
妊娠の確認方法
妊娠を確認する方法は、自身で妊娠検査薬を使って検査する方法や、医療機関での尿検査や超音波検査などがあります。妊娠初期には、市販の妊娠検査薬で妊娠を確認することが一般的です。
妊娠検査薬を使用する
妊娠を確認する方法の一つが、妊娠検査薬の使用です。妊娠検査薬は尿中の妊娠ホルモン(hCG:ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン)を検出するためのもので、薬局やドラッグストアで手軽に購入できます。生理予定日の一週間後あたりを目安に検査してください。検査では陽性、陰性、偽陰性(陽性なのに陰性の結果が出ること)になることがあります。偽陰性の原因としては、検査のタイミングが早すぎてhCGが妊娠検査薬の検出感度未満であったこと、尿の濃度が希釈されすぎていたことなどが考えられます。その後も生理が始まらない場合は再検査をするか、医師に相談しましょう。妊娠検査薬を使用する際には、必ず添付文書を読んで使用するようにしてください。陽性の結果が出たら産婦人科をできるだけ早く受診し、子宮内に妊娠していることの確認と妊娠初期の健康管理を受けるようにしましょう。
生理予定日1週間後からの
妊娠検査薬
産婦人科で妊婦健診を受診する
産婦人科での妊娠の確認方法には、問診や触診、内診のほか、尿検査や超音波検査があります。まずはじめに、問診票を基に経過の確認を行います。また触診では、お腹を触って外側から子宮の状態を確認します。尿検査は妊娠検査薬と同様に、尿中のhCGを検出することで妊娠を確認します(自宅で検査済みの場合は病院では行わないことが多いです)。超音波検査は、腟から超音波の機械を入れて検査をする経腟超音波検査により、子宮内に妊娠しているかどうかや、胎児の成長状況や心拍数を確認します。医師が各種臨床所見を総合的に判断し、妊娠が確定します。また、健診では妊娠中に必要な検査や予防接種の相談もできます。妊娠による体調の変化や出産についての不安や質問があればここで聞いておきましょう。妊娠は女性にとって身体的にも精神的にも大きな変化をもたらします。産婦人科での健診は、安心して妊娠・出産を迎えるために欠かせないものです。
妊婦健診ってなにやるの?妊娠中に気をつけること
妊娠中は、赤ちゃんの健康を守るために母体も健康であることが大切です。バランスのよい食事や適度な運動、睡眠時間の確保を心がけましょう。食事では、栄養を赤ちゃんに分け与えるために自分自身が栄養をしっかりととる必要があるので、野菜や果物、たんぱく質を含む食品をバランスよくとるようにしましょう。次に、適度な運動で体力をつけましょう。これはストレス解消にもなります。また、妊娠中は睡眠不足に陥りやすく、疲れが溜まりやすくなります。十分な睡眠時間を確保し、無理せず休息をとるように心がけましょう。そして、禁煙・禁酒も忘れずに。妊娠中の母体の健康に加えて、赤ちゃんの成長や発達にも影響してしまいます。最後に、定期的に健診を受けることを心がけてください。母体と赤ちゃんの健康状態や成長を確認し、何か問題があれば早期に対応することができます。
妊娠中に気をつけること妊娠初期に
関する
よくある質問
Q.
吐き気や嘔吐には、
どう対処すればいいですか。
A.規則正しく食事をしなくてもかまいませんので、食べられるときに食べることや、ライフスタイルを変えてみると気分がよくなる可能性があります。とりあえず水分補給ができていれば大丈夫なので、食べられるものを優先して食べてみましょう。
Q.
妊娠初期症状を感じたら、
いつ病院へ行くべきですか。
A.まだ妊娠を確認していない場合は、市販の妊娠検査薬で検査しましょう。妊娠が確認できている場合は、重度の吐き気や嘔吐、腹痛、出血などがあるとき、または不安や疑問があれば、早めに医師に相談するようにしましょう。
妊娠初期の特徴と症状 まとめ
妊娠初期はさまざまな変化があり不安になるかと思いますが、適切にケアすることが安心につながります。ここまでにご紹介してきた妊娠初期の特徴と症状に限らず、日々の生活においても変化を感じることは多くなります。ですが、気にしすぎないことも大事です。そのなかでも一番大切なことは、自身の身体や気持ちと向き合い、心身ともに健康に過ごすことです。妊娠中は赤ちゃんの成長に合わせて適切な食事や運動、十分な休養をとるようにしてください。また、医師の指導や定期的な健診を受けることも重要です。大変な期間ですが、振り返ればきっとかけがえのないものになると思います。お腹の中にいる赤ちゃんとの時間を大切に、無理はせずに過ごしてください。
監修 稲葉可奈子先生
(産婦人科専門医・Inaba Clinic院長)